特集04-2月

ゆううつなシーズンを乗り切ろう!

花粉症に負けない生活術

 

たて続けに出るくしゃみ、止まらない鼻水、そしてイライラする目のかゆみ。

日本で花粉症に悩む人が増えています。

そんな人にとって、毎年この時期は最もゆううつな季節。

何をしても同じ、などとあきらめず、前向きな気持ちでシーズンを乗り切りたいもの。

そこで今回は、つらい症状をやわらげる効果的な予防策や日常対策をご紹介します。

花粉症の原因を徹底分析

花粉症とは、空気中に飛散している植物の花粉によって起こる季節性のアレルギー性疾患のこと。症状は原因となる花粉が飛散する季節にだけ現れます。いまのところ日本で花粉症の原因となる植物は約50種類以上もあるとされ、なかでも2~4月に飛散するスギ花粉による花粉症が最も多く、全体の約80%を占めるといわれます。ただし、そのほかの季節に飛散する花粉も原因となる場合があるので油断は禁物です。

 

花粉症の4大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ(なみだ目)で、症状の出始めは、鼻風邪と勘違いされがちですが、透明でサラサラな鼻水やくしゃみの連続発作、目のかゆみ、充血、流涙など、鼻風邪にはない症状が現われるのが特徴です。逆に通常の風邪ならば、鼻水は徐々に粘っこくなり、黄緑色となってきます。

 

なぜこうした症状が出るのでしょうか。本来、私たちのからだには細菌やウィルスなどの異物が侵入してくると、それを排除しようとする「免疫」機能が備わっています。

 

この免疫反応が過剰になるために起こるのがアレルギーです。花粉症の場合、花粉を「侵入物」(アレルゲン/アレルギーを引き起こす物質)とみなして「抗体」がどんどん過剰につくられてゆきます。その際に多量に放出される化学物質(ヒスタミンなど)が粘膜の炎症を引き起こすとともに、知覚神経を刺激し、くしゃみなどの症状を引き起こします。つまり花粉症とは、花粉があまりにも大量に空気中に飛散するために生じた過剰な自己防衛反応なのです。

 

では同じ生活環境で暮らしているのに、花粉症になる人とならない人がいるのは、ど うしてでしょう。これは免疫反応の差、つまり体内に抗体ができやすいかどうかの違いによるもので、免疫抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子が関与しているといわれています。

また花粉症がこれほど増加し続けている原因のひとつとして、現代人の鼻の粘膜が弱くなり、花粉が粘膜から吸収されやすくなっていることも指摘されています。鼻の粘膜は外から入ってきた異物をとらえ内部に侵入させない役割を担っていますが、その構造はきわめてデリケート。精神的なストレスや過労、睡眠不足、からだの冷え、乾燥した空気、排気ガスなどの影響を受けやすいため、粘膜のはたらきが鈍くなると、異物を排除する機能が損なわれ、花粉が粘膜内部に侵入するのを容易に許してしまいます。このように花粉症は、鼻の粘膜の健康状態とも密接に関わった現代病だといえます。

花粉症の原因を徹底分析

花粉症に負けないデイリー対策

花粉症対策の基本はできるだけ花粉に接触しないこと。とくに風が強い日、雨の日の翌日など、花粉の飛散量の多い日は要注意です。

外出時は
・セーターなど花粉が付着しやすいウール素材の衣服は避ける
・メガネや帽子・マスクなどでガードする
といった防備策を。マスクは顔との間に隙間をつくらず、花粉が付着したマスクを使い続けないことが大切。
次に室内に花粉を持ち込まないことも重要です。
・帰宅したら衣服の花粉を払い落とし、洗顔、手洗い、うがいを習慣づける
・換気は必要最小限にとどめ、空気清浄機も上手に活用
・この時期は布団を室外で干さないこと
・部屋を乾燥させ過ぎない
・送風式のエアコンはこまめにフィルターを掃除

といった対策を徹底するようにします。花粉の粒子は温度が高く乾燥した部屋では長く浮遊し続けるので、加湿器なども活用し約60%程度の湿度を保つよう工夫しましょう。またエアコンに貼りつけるだけで花粉をカットしてくれる専用フィルターも市販されているので、そうした便利アイテムも上手に利用したいものです。

こうした対策とともに、からだの内側からも花粉症対策を行いましょう。

いまや花粉 症予防の定番となっている「甜茶」には、ヒスタミンの生成を抑えるポリフェノールが豊富に含まれています。また乳酸菌には免疫細胞にはたらきかけてバランスを整える効果があるといわれ、ニンジンなどに含まれるβカロチンにも同様の効果があると注目されています。このほか緑黄色野菜に含まれるカロチノイドは鼻や喉の粘膜を強くして花粉への抵抗力を高め、青魚に含まれるDHAもアレルギーの発症原因となる化学伝達物質の生成を抑制し花粉症の症状をやわらげる効果があるとされます。こうした食材や栄養素を積極的に摂り、花粉症に負けないからだを作りましょう。

花粉症に負けないデイリー対策

ただし水分は摂り過ぎないこと。花粉症の症状である鼻水や涙は水が主成分。水分をひかえることも症状の悪化を防ぐためのポイントです。それからストレスをためこまないよう注意。ストレスによって免疫細胞や自律神経のバランスが崩れ、さらに鼻の粘膜にも影響をおよぼして花粉症を悪化させる要因となるからです。


花粉を寄せつけず、家の中に持ち込まず、そしてからだの内側からもしっかり対策を講じて、花粉症に負けない生活を実現したいですね。

メディカルケアも賢く取り入れて

2月が近づくとゆううつになる…花粉症に悩む人にとって共通の思いかもしれませんね。花粉症はたしかに完治させるのは難しい現代病です。でも体質のせいだからしかたない、とあきらめるのは早計。シーズン前から早めに備えることで、症状を最小限に抑えることが可能です。最も効果が高いのは、花粉飛散日の約2週間前を目安とした“初期療法”で、その時期からアレルギー反応にブレーキをかける飲み薬を服用すると、本格的なシーズンに突入しても、くしゃみや鼻水などの症状をかなり軽減できます。最近の抗アレルギー薬は眠気がほとんどおきないものも出ています。新聞やTVなどで花粉情報をきめ細かくチェックし、1月に入って「花粉初観測日」が発表されたら、なるべく早めに医療機関で受診し、自分に合った薬を処方してもらうようにしましょう。また花粉症の発症後でも症状をやわらげる薬が薬局・薬店で手に入ります。そうした市販の医薬品も利用し、つらい花粉症のシーズンを乗り切りましょう。
花粉症を引き起こす植物とその飛散時期
植物 時期
スギ 2~4月
ヒノキ 3~5月
カモガヤ・ハルガヤ 5~7月
オオアワガエリ 5~8月
ブタクサ・ヨモギ 8~10月
カナムグラ 9~10月
※地域やその年の気候により、時期に多少のズレがある