特集05-11月

筋肉のこりをほぐしてグッドコンディション

トリガーゾーン・セルフケア

 

トリガーゾーン。

耳慣れない言葉ですが、要は筋肉のこりの”芯”となる場所のこと。

筋肉のこりをそのままにしておくと頭痛や生理痛、お肌のくすみなどさまざまなトラブルの原因に。

そこで今回はトリガーゾーンの簡単なケア法をご紹介。

たかが筋肉のこり、と軽視せずしっかりとほぐしてグッドコンディションを保ちましょう。

不調の引き金となるトリガーゾーンって?

トリガーとは「引き金」という意味。つまり、さまざまな不調を引き起こす原因となる場所のことを、トリガーゾーンといいます。手の位置を少しずつずらしながら、からだの筋肉を探っていくと、ほかの部分より固くなっているところが見つかるはず。筋肉が疲労して固くなった、いわば“こりの芯”に当たるところがトリガーゾーンです。

ではなぜ、トリガーゾーンが不調の引き金となるのでしょう。筋肉の「こり」とは、筋肉が緊張して血管が収縮し、筋肉の中に疲労物質がたまった状態。「こり」が長く続くと、その部分の血管やリンパ管が圧迫され、血液やリンパ液の流れが滞ってしまいます。血液は酸素や栄養素を運び、リンパはからだの中の余分な水分や老廃物を運んでいますが、流れが悪くなることで、どちらのはたらきも低下。筋肉細胞に運ばれるはずの酸素や栄養素が充分に行き渡らなくなり、余分な水分や老廃物がたまりやすくなります。その結果、内臓などの器官がうまく機能しなくなり、さまざまな不調を招きやすくなるのです。また「こり」のある部分は代謝が悪くなるため、皮下脂肪がつきやすくなり、肥満やたるみへとつながってしまいます。

不調の引き金となるトリガーゾーンって?
ついつい軽く考えがちな筋肉の「こり」ですが、このように、さまざまな不調の「引き金」に。普段からトリガーゾーンを刺激して筋肉のコンディションを整え、トラブルを未然に防ぐよう心がけましょう。

筋肉がこるとどんなトラブルを招くの?

では筋肉のこりや疲労によって、具体的にどのようなトラブルが引き起こされるのでしょうか。その代表例として、まず頭痛が挙げられます。慢性頭痛には、片側がズキンズキンと脈打つ痛みの「片頭痛」と、頭がギュッと締めつけられるような重い痛みの「緊張型頭痛」などがありますが、後者の「緊張型頭痛」の原因となるのが筋肉のこり。首から肩、背中にかけての筋肉の血流が滞り、筋肉内にたまった老廃物が神経を刺激してあのつらい痛みを起こすのです。ですから「緊張型頭痛」を防ぐには、筋肉の疲れやこりを早めに解消しておくことがポイント。もし頭痛が起こった場合も、筋肉の緊張状態を解消することが基本。蒸しタオルなどで筋肉を温めてほぐし、痛みをやわらげます。それでも痛みが治まらないようなら、市販の鎮痛薬を利用しましょう。
また、太ももや下腹部など下半身の筋肉のこりは骨盤内の血行不良につながりやすく、生理痛を悪化させる要因になりかねません。それから腰の筋肉疲労が蓄積された結果、慢性の腰痛になってしまうケースも。さらに多くの女性が悩まされる便秘は、不要な老廃物がおなかの中に長時間滞った状態ですし、からだのむくみも皮下組織や細胞内に余分な水分がたまった状態。あれもこれも、さまざまなトラブルの元凶となるのは、じつは筋肉のこりや疲労による血液&リンパの停滞なんですね。

トリガーゾーンをケアして不調を解消

トリガーゾーンの場所は人によって大きく違いますが、一般に背中や腕、下半身、頭など全身におよび、また痛みを感じる場所とトリガーゾーンは一致しないこともあります。まずは「固くなっている部分」「気持ちいい!と感じる部分」を手で探り出し、もみほぐしてみましょう

[トリガーゾーンのケアのポイント]

・ 固くなった筋肉をやさしくマッサージする感じで、あまり強弱をつけず、一定の力で30秒ほど押して、こりをもみほぐす

・ 顔などデリケートな部分をもむときは、あまり負荷をかけないよう注意する

・ 骨の部分を固い筋肉と間違えて押さないよう気をつける

・ 必ず爪を短く切ってからケアするようにする

 

こうした基本ポイントを押さえながら、ここでは頭痛と生理痛の予防&軽減に効果的なトリガーゾーンケアの例をご紹介します。ぜひ試してみてください。

 

[頭痛の解消に役立つトリガーゾーンケア]

◇ 親指でこめかみ周辺の筋肉をもみほぐす

こめかみ周辺を手で探り、固くなっている筋肉、気持ちいいと感じる部分を両親指で左右同時にもみほぐす

[生理痛の解消に役立つトリガーゾーンケア]

◇太ももの内側を肘で刺激する

1. あぐらをかいて片脚だけを伸ばす

2. 肘に体重をかけながら、曲げたほうの脚の太ももの内側をソケイ部(ももの付け根)から膝まで押して刺激する

3. 伸ばす脚を替えて同様のケアを行う

トリガーゾーンをケアして不調を解消 [生理痛の解消に役立つトリガーゾーンケア]

Wellness Q & A コーナー

Q1 トリガーゾーンケアはお肌のトラブルにも有効なの?
疲れ顔や老け顔の原因となるお肌のくすみにある程度有効です。というのも、くすみとは皮膚表面の毛細血管の萎縮や血行不良などが原因で、お肌が黒ずんだり透明感が失われた状態。耳のまわりのゾーンのこりをほぐすことで、血液やリンパの流れが改善され、くすみがある程度解消されるというわけです。
Q2 トリガーゾーンケアは片頭痛にも有効なの?
筋肉のこりや緊張が原因で起こる緊張性頭痛には効果がありますが、残念ながら片頭痛は、ホルモンや環境の変化などが原因とされているので、筋肉のこりをほぐしても痛みは治まりません。片頭痛の場合は、冷やして炎症を抑えるのが基本。つらい痛みが長く続く時は市販の鎮痛薬も上手に利用しましょう。
Q3 筋肉がこるとなぜ肥満しやすいの?
筋肉は脂肪を燃やすサポートをしています。筋肉がこっていると部分的に代謝が下がり、脂肪の燃焼率もダウンします。さらに脂肪は冷えた場所につきやすいので、動かずに熱を発しなくなった「こり」のある筋肉のまわりには、脂肪が蓄積されてしまうのです。