フレイルとは

フレイルとは

フレイルとは海外で使用されている「Frailty(フレイルティ)」に対する日本語訳で、「虚弱」や「老衰」、「脆弱」と表現されますが、現在では「フレイル」という表現をそのまま用いられることが増えてきました。厚生労働白書ではフレイルを以下の様に記述しています。

フレイルとは、加齢とともに、心身の活力(運動機能、認知機能等)が低下し、
複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、
生活機能障害が起きたり、要介護状態となったり、疾病等の重症化を招いたりするなど、
心身の脆弱性が出現するが、
一方で、適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態のこと。

フレイルの基準

フレイルの基準には、さまざまなものがありますがFriedが提唱したものが採用されていることが多いです。Friedが提唱した基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断されます。

  • 体重減少
  • 疲れやすい
  • 歩行速度の低下
  • 握力の低下
  • 身体活動量の低下

フレイルの原因

多くの場合において、健康であった高齢者が介護を必要とする状態に至るまでの間には、加齢により心身の活力が徐々に低下していく等の中間的な段階があります。
この段階で適切な支援を行うことにより、要介護の状態となるのを食い止めたり遅らせたりすることや、疾病の重症化等を予防することが可能であると考えられます。
フィジカルな面での要介護の入り口は、サルコペニア(筋肉量減少)があるとされます。
筋肉量の減少から、様々な身体的機能低下がおこり、その悪循環から要介護におちいるとされます。したがって筋肉量減少を防ぐことが重要であり、そのためには高たんぱく食の摂取による低栄養の予防、口腔ケア、筋力強化のための歩行や運動などの予防策に取り組む必要があります。

高齢者の虚弱(「フレイル」)について

高齢者の虚弱(「フレイル」)について

出典:平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-図表4-2-19 高齢者の虚弱(「フレイル」)について

フレイルの予防

より早い段階で、できれば 健康な時から多面的なケアが必要です。

多くの高齢者は、中間的な段階「フレイル」を経て、徐々に身体機能障害に

多くの高齢者は、中間的な段階「フレイル」を経て、徐々に身体機能障害に

働き盛りの頃から気をつけるべき生活習慣病予防から年を重ねるにつれて重要度が高まるフレイル予防へスムーズに転換していくためには、若く健康なうちにメタボリックシンドローム(メタボ)予防などの生活習慣の改善をおこない、より速い段階から栄養・身体活動・社会参加といった多面的アプローチが重要です。

健康長寿のための「3つの柱」

健康長寿のための「3つの柱」

出典:厚生労働省 第二回 在宅医療及び医療・介護連携に関する
ワーキンググループ資料4 日本老年医学会提出資料

フレイルの予防が叫ばれる背景

フレイルを予防することは健康寿命の延伸につながり、増え続ける社会保障費の抑制に貢献します。

国民医療費の推移

国民医療費の推移

出典:厚生労働白書(平成24年)
厚労省 医療費等の将来見通し及び財政影響試算(平成22年10月)

団塊の世代が60歳を超え、2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、後期高齢者は人口の21%を占めると予測されています。
日本の人口は減少局面を迎えており、高齢化率は2015年時点で23.0%。2060年には40%近い水準となります。そのような中で 2014 年時点における現在の国民医療費は 1 人 あたり年間約 32 万円。65 歳以上の高齢者人口増加に伴い今後さらに増加していくと予測 されています。

日本の人口の推移

日本の人口の推移

出典:平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-図表4-1-1 日本人口の推移

人口ピラミッドの変化(平成24年中位推計)

人口ピラミッドの変化(平成24年中位推計)

出典:平成28年版厚生労働白書-現下の政策課題への対応-図表1-1-1 人口ピラミッドの変化

2015年の平均寿命は世界トップクラスの、男性80.79年、女性87.05年。 健康寿命※1 についても2013年時点で世界トップクラスの男性71.19年、女性74.21年。 ところが日常生活に制限のある「不健康な期間」※2で見ると、2001年から2013年にかけて若干広がり、縮まっていません。 「不健康な期間」の拡大は個人や家族の生活の質の低下を招くとともに、医療費や介護給付費等の社会保障費の増大にもつながります。
平均寿命の延び以上に健康寿命を延ばす(不健康な期間を短縮する)ことが重要です。

平均寿命と健康寿命の推移

平均寿命と健康寿命の推移

出典:平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-図表1-1-10 平均寿命と健康寿命の推移

「不健康な期間」の拡大は個人や家族の生活の質の低下を招くとともに、医療費や介護給付費等の社会保障費の増大にもつながります。平均寿命の延び以上に健康寿命を延ばす(不健康な期間を短縮する)ことが重要です。

  • ※1:健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間
  • ※2:平均寿命と健康寿命との差

フレイルを予防することは、社会課題である社会保障費増大につながる要介護者の増加を防ぎ、
健康寿命の延伸につながります。だからこそ、国も社会課題解決の一環としてフレイル予防に注目しており、
フレイルは社会全体で取り組まなければならない課題と言えます。