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知っておきたいオーラルフレイル 第4回:しっかり噛んで誤嚥性肺炎を予防しましょう

様々な食べ物があふれている世の中。歯を失ったり、飲み込む力が弱くなったりしても、栄養が全く摂れないことはありませんが、それは誤嚥性肺炎の危険性をはらんでいるということ。しっかり噛んで飲み込むことは誤嚥性肺炎を予防し、健康的な生活をすることに結びついているのです。

しっかり噛んで飲み込むことが大切

高齢者が注意すべきものに「誤嚥性肺炎」があります。誤嚥性肺炎というのは、飲食物が食道ではなく気管に入ってしまう「誤嚥」が原因で発症します。噛む力、飲み込む力が弱まり、上手く食べ物を消化器官へ送ることができないと発症しやすくなります。

噛むことの大切さは……

ものをしっかり噛む(咀嚼する)

  • 胃の負担が減り、栄養が吸収されやすくなる
  • 肥満を防ぐ
  • 脳を活性化する
  • 食材の味を楽しめる

しっかり噛むことで全身の筋肉や骨のバランスを整える

  • 運動能力の向上
  • 滑舌がよくなる

ものをしっかり噛むことでだ液が出る

  • 炭水化物を分解して消化を助ける
  • 口の中の汚れを洗い流し殺菌する
  • 細菌感染などからからだを守る
  • 酸を中和して歯の侵食を防ぐ
  • 食べ物を飲み込みやすくする
  • 口の中の粘膜を保護する

噛む……という行為には、こんなにたくさんの役割があります。
そして、噛む力が減ることで、健康寿命にも関係することがわかってきています。

咀嚼能力と健康余命の関係

<出典>
那須郁夫:咀嚼能力の向上は健康余命を延伸する - 日本補綴会誌 4,2012

さらに噛むことは健康寿命にもつながる

誤嚥性肺炎と噛むことに何の関係があるのかと思われるかもしれませんが、実は噛んで飲み込むという一連の流れは、筋肉による非常に繊細なメカニズムで制御されており、誤嚥したら咳などで出すといった動作も、上半身の筋肉の連動でなりたっているのです。そのため、しっかり噛むという動作が減ると、飲み込む部分の筋肉も衰え、食べ物を誤嚥しないように働く気管の蓋がしまりにくくなったり、間違って飲み込んだものを咳とともに外に出す力も弱くなったりします。

口の周りの筋肉や舌を使ってしっかり噛むことが、飲み込むための筋肉を鍛えます。ですから、柔らかいものだけではなく、様々な硬さのものを食にとり入れることをおすすめします。自分の歯ではなく、入れ歯や差し歯、インプラントを使ってでも、噛むことはとても大事です。

また、年齢とともに体の筋肉と同じく、飲み込みの筋肉も弱ってきます。日ごろからしっかり噛んで飲み込むという動作を意識しましょう。噛むことでだ液が分泌されると、口の中の細菌が流されやすくなります。風邪やインフルエンザなどが流行っている時期はもとより、毎日の生活でも様々な菌が口の中に入り、だ液によって流されています。

噛んで、口を清潔に保ち、予防しましょう

普段からお口の中をきれいにし、良い衛生状態を保つことも非常に大事です。毎日の歯みがき、入れ歯の洗浄はもとより、歯医者による定期的なメンテナンスを心がけてください。

きちんと自分に合った入れ歯を使い、しっかり噛むことで、誤嚥性肺炎を予防しましょう。


監修:歯科医師 山本清夏先生