シオノギヘルスケア
ピクシーダストテクノロジーズピクシーダストテクノロジーズ

聴く刺激を毎日に取り入れる。
ガンマ波サウンドケアは、いかに誕生したか。

人々の健康を見つめ続ける「塩野義製薬」と
先端テクノロジーカンパニー「ピクシーダストテクノロジーズ(以下、PxDT)」が
共同研究した暮らしの中で自然に聴くことができる40Hzの音、
「ガンマ波サウンド」誕生のストーリーをご紹介します。

開発者 座談会

めざしたのは、医薬品という領域を超えて新しい方法で毎日を快適にすること。

01

「いま、塩野義製薬は、『聴く』『見る』『触る』など、人間の五感に訴えかける『五感刺激』による健康づくりに注目をしています。人間は生活の中で五感をフル活用して生きていますから、身体のコンディションは五感に影響を受けやすいのです。
意外かもしれませんが、私たちは製薬会社ですが、医薬品だけにこだわっているわけではありません。健康や体調などのお困りごとの解決には、日常の習慣やケアがとても大切です」

「PxDTは光や音、そして触覚など『五感刺激の技術』に取り組んでいる会社です。確かに、当時、まさか製薬会社が興味を示してくれるとは思っていませんでした」

辻 未津高
PxDT 事業責任者

「そうなんですか?塩野義製薬にとっては運命の出会いでしたよ(笑)。
両社それぞれの専門知識を掛け合わせれば『五感刺激による、新しい健康づくりの常識』が生み出せるのではないかとワクワクしました(!)。
具体的には塩野義製薬が『ヘルスケア領域の課題』を、PxDTが『技術アイデア』を、それぞれ持ち寄って議論を重ねましたね。誰もやったことがない試みを実現させたくて、打ち合わせは数十回にもおよびました」

「その過程で出てきたテーマに、現代人の疲労がありました。皮膚への触覚刺激を用いて、入浴の気持ちよさを再現し疲労回復に役立てないかというもので、あれは面白い発想でした。また、睡眠も現代人の悩みのひとつなので、入眠から起床までの光をコントロールして、睡眠リズムを改善することも考えました」

「そんな疲労や睡眠などのテーマの選び方ですが、特定の悩みや病気にアプローチするという事前の課題を設けずに、現代人が困っていることは何だ?という視点で切り口を探していて。高齢社会における大きな課題である認知症なども候補に挙げられていました」

「結果、高齢化というのはとても重要なキーワードになりましたね。日本では今後ますます深刻な問題になっていきますから。そんな社会課題の大きさが決め手となって『音刺激の技術で、高齢者の活き活きとした暮らしを創る』という挑戦が始まったのです」

「人生100年時代、明晰で自分らしく暮らしていきたいですもんね」

五感刺激で現代人の課題に立ち向かう
両社による新しいプロジェクトがスタートしました。
めざすは人生100年時代を活き活きと暮らしていける
テクノロジーの開発です。

音か?光か?習慣化するなら暮らしに取り入れやすい方法を。

02
長谷 芳樹
PxDT リサーチャー

「クラシック音楽を聴くと、脳にアルファ波が出てリラックスできるという話を聞いたことがあると思います。
それとまったく同じではありませんが、よく似た現象として40Hz(ヘルツ)という周波数の『音』や『光』の刺激を受けると、脳内で40Hzの波長をもった脳波が出るという報告があります。この40Hzの脳波には、アルファ波と同じように『ガンマ波』という名前がありまして、ガンマ波は人間が集中しているときに出やすい脳波なんですね。このあたり面白いので記事や文献などを検索していただければと思います」

「少し専門的になりましたが、この話を端的にまとめますと『40Hzの音や光の刺激によって、活き活きとした毎日を叶える可能性がある』ということになります。
我々はその点に注目したのですが、音でも光でも同じことが起こるなら、どっちの手法を選択すべきかと?」

柳川 達也
塩野義製薬 ビジネス創出グループマネジャー

「私たちがこだわったのは『より日常の中で続けやすい方法を選ぶ』ということです。やっぱり五感刺激は毎日の積み重ねが大事ですから」

「それはとても重要な視点ですよね。そういう意味でも『見る』ことよりも『聴く』ことの方が暮らしの中で何か別の用事をしながらでも続けられるので、継続性を叶えられるという結論に至り、新しい『音』の開発に取り組み始めました」

何かをしながら40Hzの音を聴くだけならば
暮らしの中で続けやすいはず。

生活の中で自然に聴ける「40Hzの音」をめざして

03
高野 秀城
PxDT デザイナー

「今までの研究で使われていた40Hzの音は、ブーーーーッと鳴り続けているブザーのような音で、実はあまり快適なものではありません。
これを毎日聴き続けるのはむずかしいと思うので、我々は独自に、より自然に聴ける40Hz『ガンマ波サウンド』をつくろうと思ったわけなんです」

「PxDTには音や、音処理をする機器の技術が豊富にありますので、たとえばTVなどの音源をリアルタイムで40Hzに変調すること自体は比較的早期に実現できましたが、その変調の具合によって聴きやすい音と聴きにくい音が出来あがります。なので、さじ加減の調整にずいぶんと苦労をしました」

「その中でも注力したのは人の声を変調したときの聞き取りやすさです。人は、人の声に敏感なので、その性能は特に高いレベルで叶えられたと自負しています」

開発したのはまったく新しい音、
独自の40Hz「ガンマ波サウンド」です。
楽しく続けられるよう、
聴きやすさに徹底的にこだわりました。

変調した音で今までの研究結果と同じ成果が生まれるのだろうか。

04
高澤 和希
PxDT エンジニア

「独自に開発した40Hz『ガンマ波サウンド』は、従来の研究で使われたブザー音と同じく、脳内にガンマ波と呼ばれる脳波を惹き起こすことができるのか?塩野義製薬とPxDT、そして国立研究開発法人である産業技術研究所が共同研究をしました。
詳しくはむずかしくなるので割愛しますが、測定結果を客観的な学術データとして公表できるよう、測定条件・内容などはすべてルールに基づき厳密化しました」

「これはドキドキしましたね。
『ガンマ波サウンドは、高齢者の活き活きとした暮らしを支える音である』と言うための第一歩となる実験ですから」

「ちなみにPxDT社内においても脳波計を用いての測定は繰り返していました。音を聴いて40Hzの脳波が惹き起こされなければプロジェクトを終了せざるをえなくなりますので、社内テストで脳波を確認して『このプロジェクトは終了しないことがいったん確定しました』というメッセージをチームに回したこともありましたね(笑)」

「さて、共同研究の結果ですが、PxDT社内での簡易測定と同様に脳波が惹起。学会での学術発表もすでに終えています。海外などの実験で用いられてきたブザー音と、人が聴きやすい『ガンマ波サウンド』は、同じ可能性を秘めていると言えるのではないかと思っています」

刺激一覧と各パラメータ
刺激番号 各パラメータ
被変調信号 変調関数 変調周波数 変調度/Duty比
#1 40 Hz (無変調) - -
#2 1 kHz 正弦波 20 Hz 100 %
#3 1 kHz 正弦波 40 Hz 100 %
#4 1 kHz (無変調) - 0 %
#5 1 kHz 正弦波 80 Hz 100 %
#6 1 kHz ノコギリ 40 Hz 100 %
#7 1 kHz 逆ノコギリ 40 Hz 100 %
#8 1 kHz パルス1波 40 Hz Duty比 4 %
(時間長0.5s、100回ずつランダム呈示)
各音刺激聴取時のT6電極での観測脳波の40Hz同期成分
各音刺激聴取時のT6電極での
観測脳波の40Hz同期成分(22名の平均&SD)
「ガンマ波サウンド」は従来の実験と同様の結果を確認。
この音の可能性が証明されました。

高齢者にも簡単で、使いやすいこと。それが本当に役立てるということ。

05

「我々の『ガンマ波サウンド』技術は、まだ歩み始めたばかりですので、この先の研究でもっと素晴らしい音づくりのアルゴリズムが開発される可能性が大いにあります。私たちは現状に満足することなく、ノウハウを積み重ねながら、どんどん進化を繰り返していきたいと思っています」

葛西 大樹
PxDT エンジニア

「なるほど、『ガンマ波サウンド』も『私たち』も未来へ向けてアップデートを続けていくということですね」

「はい、さすが、うまくまとめていただきました(笑)。
ちょうど未来の話になったので、最後に今後の展望を。
塩野義製薬としては『ガンマ波サウンド』の概念を社会に根付かせ、広く可能性を知ってもらうことで、高齢者の方々の新しい健康習慣へと育てていきたいと思っています」

「そうですね。5年10年経ってから、あのときに私たちが『ガンマ波サウンド』を発表していたから、こんなに社会がよくなっているんだと感じることができれば最高だと思います。
PxDTには音以外にも五感技術が豊富にありますから、『ガンマ波サウンド』技術と掛け合わせたり、別の方向で新しいことに挑戦したり、立ち止まらずに前に進んでいきたいと思っています」

「健康への五感技術の応用はまだ始まったばかりなので、今後、互いにアイデアを出し合ってよりよい時代をつくっていきたいですね」

ガンマ波サウンド技術は
これからも進化を重ねていきます。
五感技術の健康への応用も、
まだまだ広がっていきそうです。
毎日の音刺激で「ながら習慣」。

高齢者の方々の活き活きとした
未来を祈っています。