特集03-12月

今年こそ風邪をひかない冬に

風邪知らずの元気生活

 

そろそろ風邪をひきやすくなる季節。

「風邪は万病のもと」といわれる通りたかが風邪、とあなどるのは禁物。

今年の冬こそ、体調を崩さないよう細心の注意を払い、風邪知らずで元気に乗り切りたいですね。

そこで今回は風邪の効果的な予防対策や、こじらせず早く治すための基本ケアなど、風邪に備える役立ち情報をお届けします。

どうして風邪をひくの?

風邪は正式には「風邪症候群」という病名で、その原因の80~90%がウィルスの感染によるもの。ウィルスは200種類以上も存在するといわれ、その多くが低温・低湿の環境を好みます。冬に風邪をひきやすいのは、このためです。これらのウィルスは空気中に漂っています。つまり私たちはつねに感染する危険にさらされているわけです。それでも栄養状態がよく、からだの抵抗力がしっかり備わっている状態の時は、ウィルスの感染を許しません。ところがストレスや疲れ、栄養不足、睡眠不足など、からだのコンディションが悪い時は、ウィルスにつけこまれやすく、風邪をひいてしまうのです。では感染すると、どうなるのでしょう。まず空気中に浮遊しているウィルスが鼻に入り、鼻粘膜で増殖し炎症を起こします。その結果、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどが引き起こされる。これが風邪の一般的な初期症状です。
このとき体調が悪かったり抵抗力が低下していると、ウィルスは咽頭や喉頭の粘膜に感染し、喉の痛みや腫れ、声のかすれなどの症状が起こります。さらに炎症が進むと、ゾクゾクと寒気がし始め、発熱や筋肉・関節の痛み、頭痛、腹痛、下痢といった全身症状が現われます。
初期段階で治療や安静につとめれば、症状がひどくならずに回復できますが、こじらせては大変。「風邪は万病のもと」と言われる通り、長期化した場合、肺炎や気管支炎など、他の病気を併発することもあるので油断は禁物です。

風邪対策は一にも二にも予防から

風邪はひかないための予防が何より重要です。予防の第一は帰宅時の手洗いとうがい。ウィルスは鼻や喉の粘膜につきやすく、また吊り革や受話器などを介して手にも付着します。石鹸とお湯でしっかり手を洗い、できればうがいは殺菌力のあるヨウ素系のうがい薬や食塩水などで。ウィルスの侵入を抑える成分カテキンを含んだ緑茶や紅茶でのうがいも効果的です。もし風邪をひいている人と会話した場合は直ちにうがいをしましょう。

風邪対策は一にも二にも予防から
次に大切なのは、風邪に対する免疫力や抵抗力を高めておくこと。私たちに本来備わっている力ではありますが、生活習慣の乱れや過労などによってウィルスと闘う力が弱まってしまいます。疲労やストレスを溜めこまないよう注意し、充分な睡眠を取って体調を整える。ごく基本的なことですが、毎日のコンディションをきちんと維持し、風邪のウィルスに打ち勝ちましょう。また室温が高すぎるのも寒さへの抵抗力を弱める要因に。室温は18~20℃とやや低めの温度に抑えるとともに、加湿器や濡れタオルなどで部屋の乾燥を防ぎ、70%前後の湿度に保ちましょう。

もちろん食生活にも充分な気配りを。とくに免疫力を高める栄養素をしっかり摂りたいもの。寒さへの抵抗力を増し風邪のウィルスへの免疫力を高めるビタミンC、ウィルスの侵入しやすい鼻や喉の粘膜を丈夫にするビタミンA、強い抗菌作用と抗ウィルス作用を持ちエネルギー代謝を高める硫化アリルといった栄養素がその代表格。カボチャやニンジンなどの緑黄色野菜や果物、ネギ、ニンニクなど、これらの栄養素を豊富に含む食べ物を意識して多めに口にするようにしましょう。
それから冬場に急激に流行しやすく、普通の風邪よりもはるかに強い全身症状が現われるインフルエンザの感染を防ぐには、何といっても予防接種が効果的。その年に流行しそうなウィルスの型を予測し、毎年それに対抗するワクチンが作られています。流行し始める前に予防接種を受けておくことが、最も賢明なインフルエンザ対策といえます。

風邪対策は一にも二にも予防から

風邪かな、と思った時の基本ケア

それでもうっかり風邪をひいてしまったら、とにかくこじらせないことが肝心。充分な休養、睡眠、栄養によって防御機能を高め、少しでも早くウィルスを排除するようにしましょう。風邪のひき始めの食事は、脂っぽいものは避け、消化しやすく栄養価が高いものを中心にします。豚汁やけんちん汁、ビタミンAが豊富なカボチャのスープ、梅干しを入れた味噌仕立てのスープなど、汁ものの料理は、からだが温まり、あまり食欲がない時でも喉を通ります。水分を補給して脱水症状を防ぐ意味でもおすすめです。

風邪かな、と思った時の基本ケア

また風邪をひいた時の入浴は、熱がない限りOK。むしろお風呂の湯気が鼻や喉に適度な湿気を与えるため、鼻づまりや喉の痛みが軽減されるというメリットがあります。それから風邪のひき始めに有効なツボをご紹介。手の甲側の親指と人差し指の延長線上にある「合谷」(ごうこく)と、そのちょうど真裏の手のひら側にある「感冒点」(かんぼうてん)。どちらも呼吸器系の働きを良くするツボで、別の手の親指と人差し指とで、それぞれ「合谷」と「感冒点」を押します。ふたつのツボを同時に刺激することで、風邪の回復を促します。
ともあれ風邪かな、と感じたら早めのケアが大切。仕事が休めない場合は市販の風邪薬も上手に活用し、不快な症状を長びかせないよう心がけましょう。とくに高熱や頭痛、悪寒、筋肉痛などの全身症状が現われるようならインフルエンザの可能性が大。発症後48時間以内なら特効薬がありますので、少しでも症状が軽いうちに医師の診察を受けるようにしましょう。

風邪かな、と思った時の基本ケア