特集05-8月

美と健康のキーワードは抗酸化

夏の抗酸化マニュアル

 

空気中の酵素にふれて金属がサビるように、気をつけないと、私たちのからだもサビついてしまいます。

その元凶は、「活性酸素」と呼ばれる物質。

体内の活性酸素が増えすぎると、肌の老化やしみ、生活習慣病など、さまざまなトラブルを招きます。

そこで今回は、活性酸素のダメージを防ぐ、耳よりのお役立ち情報をご紹介。

万全の抗酸化対策で、からだの内側からも健康美人をめざしましょう。

からだをサビつかせる犯人、それが活性酸素

 

私たちは呼吸によって空気中の酸素を取り込み、食事で摂った栄養素をエネルギーに変換していますが、このプロセスの中で「活性酸素」という反応性の高い酸素が発生します。じつはこの活性酸素こそ、からだを酸化=サビつかせる諸悪の根源なのです。そもそも活性酸素というのは、体内に侵入した細菌やウィルスを退治する役割を担う物質。ところが何らかの原因で過剰に発生すると、全身の細胞組織にダメージを与える"悪玉"に早変わり。その結果、皮膚や血管、内臓などを酸化させ、細胞の老化を引き起こします。そればかりか、運動機能や内臓機能などのコンディションに悪影響をおよぼし、さまざまな生活習慣病の要因になると言われています。

 

ではどうして活性酸素が増えてしまうのでしょう。その最大の要因は紫外線です。紫外線を浴びると、皮膚の細胞内に大量の活性酸素が発生し、肌の弾力やハリを保っているコラーゲンやエラスチンを破壊・変性してしまいます。これが肌のシワやたるみの原因となります。さらに活性酸素による皮膚細胞の損傷を防ごうとして、大量のメラニン色素がつくりだされ、その一部がしみとなって皮膚に残ります。このように紫外線にさらされやすい皮膚は、活性酸素のダメージを最も受けやすく、つまり最もサビつきやすい部分なのです。

このほか、ストレスや激しい運動、睡眠不足、過度の飲酒なども、活性酸素を多く発生させる原因に。またパソコンや携帯電話の電磁波や大気汚染といった現代の生活環境も、活性酸素を増やす要因と言われます。このように、私たちのからだは、つねにサビつきやすい危機に直面しているんですね。

活性酸素に打ち勝つ方法はないの

知れば知るほど心配になる活性酸素の悪行。活性酸素に打ち勝つ手だてはなさそうに思えてしまいますが、そんなことはありません。じつは私たちの体内には活性酸素に対する防御システムが備わっているのです。その中心的な役割を担うのが体内でつくられる「抗酸化酵素」と呼ばれる物質です。代表的なものとして、「スーパーオキシドジスムターゼ」(SOD)、「グルタチオンペルオキシターゼ」「カタラーゼ」などがあり、活性酸素を無害な水に分解して体外へと排出してくれます。

活性酸素に打ち勝つ方法はないの
ただ、こうした抗酸化酵素をつくりだす力は、20代をピークとして年齢とともに衰え、酵素そのものの解毒能力も低下していきます。またストレスや不規則な生活などが避けがたい現代の生活環境では、活性酸素が発生する危険性が高く、若いからと安心してはいられません。それだけに体内の防御システムだけに頼らず、日頃から「抗酸化」を意識した生活習慣を心がけ、活性酸素の害から身を守りたいものです。

[からだをサビつかせない生活習慣]

・ 外出時は日傘や帽子を携帯するなど、紫外線対策で肌へのダメージを防ぐ
・ウォーキングなど、息切れしない程度の運動を習慣づける
(激し過ぎる運動は活性酸素を多く発生させるので逆効果)
・イライラや不満をためこまず、ストレスを上手に発散させる
・しっかりと睡眠時間を確保し、疲れをためないようにする
・食べ過ぎに注意し、つねに腹八分目を心がける
・アルコールは控え、喫煙はやめる

抗酸化成分をしっかりとってサビ予防

それでは、もっと積極的に「抗酸化」を図る方法はないのでしょうか。いちばん有効なのは、優れた抗酸化力を備えた栄養素を補給することです。その代表格が「抗酸化ビタミン」とも呼ばれるビタミンA・C・E(「ビタミンACE」と覚えておきましょう)です。これらのビタミンは、血液や細胞などに発生する活性酸素の害を阻止・消去し、抗酸化酵素のはたらきをサポートします。しかも細胞膜の損傷を防ぐために自ら犠牲になって酸化されたビタミンEを、ビタミンCが元気に再生させて抗酸化力を取り戻させるなど、それぞれがお互いに協力し合って活躍します。ですから3つのビタミンをバランスよく摂ることが大切。
緑黄色野菜やナッツ類、果物、植物油など、ビタミンA・C・Eを豊富に含む食材を意識して口にするよう心がけ、市販のビタミン剤も賢く活用しましょう。

抗酸化成分をしっかりとってサビ予防

また紫外線にさらされて最もサビやすい皮膚において、優れた抗酸化力を発揮するのが、天然アミノ酸の一種であるL-システイン。このL-システインは皮膚の抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシターゼ)のはたらきに欠かせない成分で、紫外線によって発生した活性酸素を消去するほか、メラニンの生成を抑え、すでにできてしまった黒色メラニンを淡色化するなど、まさに素肌美人の頼もしい味方。多く含む食品としては、豚レバーやヒレ肉、米胚芽などがあります。

これ以外にも、カカオや赤ワインなどに含まれるポリフェノール、緑茶や紅茶などに含まれるカテキン、ごまに含まれるセサミノール…など、いくつかの成分に抗酸化作用が認められています。

活性酸素のダメージを、いかに最小限に抑えるか。「抗酸化」は、いまや食生活においても、美と健康を叶える最重要キーワードだと言えそうですね。

Wellness Q & A コーナー

Q1 カラフルな野菜や果物は抗酸化作用が強い?
南国のフルーツがカラフルなのは、強力な紫外線による細胞のダメージを防ぐリコピン、β-カロテン、ルティンなどの抗酸化色素がたっぷりと含まれているため。緑黄色野菜の鮮やかな色も同じ理由です。このように、カラフルな色の野菜や果物は、おおむね抗酸化作用が強いと言えます。食材選びのひとつの目安としてください。
Q2 虫干しと活性酸素は関係あるの?
衣類や本を日光に当てる「虫干し」は、昔から行われてきた生活の知恵。あれもじつは、紫外線によって発生した活性酸素を利用して、ダニなどの害虫やカビ、雑菌などを殺しているわけです。そう考えると、無防備なまま肌を紫外線にさらすことがいかに有害であるか、わかるというもの。
Q3 加齢と紫外線、どちらが肌の老化を促す?
肌の老化とは、すなわち真皮の老化のことで、最大の原因となるのは紫外線。紫外線によって大量に発生した活性酸素は、真皮中のコラーゲンを破壊し、皮膚の弾力やツヤを失わせます。紫外線による肌の老化現象を「光老化」と呼び、真皮へのダメージという点で、加齢よりもはるかに深刻と言えます。