OD(オーバードーズ)について理解したい
OD(オーバードーズ)とは、そもそも何でしょうか?
特別な人だけがなるのでしょうか?
このページでは、ODのことをわかりやすく解説しています。
ODを理解したいと願う気持ちが、あなたや大切な人のイマを
受け止める大事な一歩になればと思います。
少しずつ、少しずつ。紐解いていきましょう。
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- Q1:OD(オーバードーズ)とは何ですか?
- Q2:なぜ市販薬のODが広がっているのでしょうか?
- Q3:市販薬のODは、私たちのカラダやココロにどのような影響を与えますか?
- Q4:ODのことで悩んでいる場合、誰に相談すれば良いですか?
Q1:OD(オーバードーズ)とは何ですか?
薬物のオーバードーズ(過量服薬)は、私たちの体や心に深刻な影響を与えます。
オーバードーズ(Overdose)とは、決められた量を超えて何かを摂取する、という意味です。
薬物のオーバードーズは、社会で定められたルールから逸脱した使い方という観点から、薬物乱用の一種とも言えます。
近年、身近な市販薬(例えば、咳止めや風邪薬)のオーバードーズが若者を中心に広がっています。全国の一般住民を対象として調査[※1]によれば、過去1年以内に市販薬を濫用した経験のある国民は、全国で約65万人に達すると報告(2023年)されています。
Q2: なぜ市販薬のオーバードーズが広がっているのでしょうか?
国内の医療機関を受診した患者を対象とする研究によれば、市販薬の乱用を始めた背景(きっかけ)は、家族関係(親との不仲、虐待やネグレクトなども含む)や友人関係(いじめ、仲間外れなどを含む)に起因する動機が多いことが報告されています。
薬物乱用の目的と言えば「快感を得るため」「効果を楽しむため」と思われがちですが、市販薬のオーバードーズは、むしろ苦痛を和らげるために使われています。つまり、
つらい気持ちを麻痺させ、イヤな時間を先に進めるための手段
として使われているのです。
オーバードーズの背後には、「生きづらさ」が関係していると言われています。
イギリスの青少年を対象とした研究[※2]によれば、オーバードーズをする動機として最も多かったのが「ひどい精神状態から解放されたいから」という理由でした。この「生きづらさ」の根底には、家族や友人などとの対人関係上のストレスやトラウマ体験が背景にあると言われています。
Q3: 市販薬のオーバードーズは、私たちのカラダやココロにどのような影響を与えますか?
市販薬は、決められた量や回数を守れば、安全に使うことができます。
しかし、オーバードーズによって、さまざまな急性の中毒症状が生じる可能性があります。これを急性中毒と呼びます。
(1)急性中毒について
急性中毒の症状はたくさんあります。使用される市販薬によっても異なります。代表的な症状として、
悪心(気分が悪くなる)、吐き気、頭痛、
意識障害(ぼんやりと意識レベルが低下するなど)、
呼吸障害(呼吸が早くなる、呼吸が苦しくなるなど)、
循環器障害(脈が早くなる、脈が止まるなど)
といった症状があります。
急性中毒には個人差があります。
そのため「何錠までだったら大丈夫か」「何錠飲んだら急性中毒になるか」などを予測することは困難です。
また同じ人であっても、その日の体調や他に摂取しているものの影響によって、症状の出やすさが異なります。例えば、お酒と一緒にオーバードーズすることで、より深刻な急性中毒を生じる可能性があります。
(2)薬物依存症について
オーバードーズの対象となる市販薬の中には、依存性物質が含まれている場合があり、乱用を繰り返すことで、薬物依存症になる可能性があります。国際的な診断基準で規定されている精神障害の一つです。
薬物依存症とは、
薬物を使いたいという気持ちを抑えることができず、日常生活や対人関係上に困り事が生じているにも関わらず、自分の意志では、薬物をやめることができない状態 のこと を指します。
Q4: オーバードーズのことで悩んでいる場合、誰に相談すればいいですか?
ひとりで悩まないでください。
あなたの周りには、さまざまな相談先や相談方法があります。
各相談員には守秘義務が課されています。あなたの秘密は守られますので、安心してご相談ください。
- ※1 国立精神・神経医療研究センター、薬物使用に関する全国住民調査(2023)
- ※2 Rodham K, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 43(1):80-7. 2004.
監修
嶋根 卓也(しまね たくや)先生
国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 薬物依存研究部 心理社会研究室長