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セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは

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薬局やドラッグストアの薬剤師などのアドバイスを受けたうえで市販の医薬品(OTC医薬品)を使って予防や治療を行う「セルフメディケーション」。国民の一人ひとりが取り組むと国民医療費の削減効果が大きくなることから、政府はさまざまな施策でセルフメディケーションを推進しています。

国民医療費の約3分の1を占める生活習慣病。日頃から自分の健康状態や生活習慣をチェックすることもセルフメディケーションの大事なポイントです。高齢化や生活習慣病の増加が問題になっているいま、自分自身で健康を管理・維持するセルフメディケーションの考え方は、国民医療費の抑制にもつながることが期待されています。

国民医療費(医科)に占める生活習慣病の割合(2018年度)

今回は政府がセルフメディケーションを推進するため、平成29年に新設した「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」についてご紹介します。

市販の医療品を利用する機会が多い場合に検討

1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合に申請できる「医療費控除」がありますが、持病や大病もなく比較的健康に過ごしている人は、この制度にほとんど縁がないでしょう。

そういった方でも、軽いケガやちょっとした体調不良などで市販されている医薬品(スイッチOTC医薬品)を利用する機会が多い場合、一定の条件を満たしさえすれば税金が還付・減額される制度が「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」です。

対象となる医薬品は?

セルフメディケーション税制の対象となる市販の医薬品(スイッチOTC医薬品)は厚生労働省のWebサイトに掲載されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html#h2_free2
税控除対象

薬局やドラッグストアで目印となるのがこのマーク。
対象製品の多くに入っているので、チェックしてみましょう。

対象となる人は?

セルフメディケーション税制は、「健康の維持増進および疾病の予防に向けて“一定の取り組み”を行う個人(※)」が対象の医薬品(スイッチOTC医薬品)を年間12,000円以上購入することが条件です。控除の対象となるのは12,000円を超えた部分の金額で、上限金額は88,000円となっています(つまり、対象製品を10万円以上購入した場合でも、一律88,000円が控除の対象となります)。

※医療費控除と同じように、申告する人と扶養している家族、それぞれの購入費用を足すことができます。例えば、夫が購入した医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費用と、扶養されている妻や子などの購入費用を足して12,000円を超えれば対象となります。
上でいう“一定の取り組み”とは、以下の健診・検診や予防接種です。

  • 特定健康診査(メタボ健診)または特定保健指導
  • 予防接種(定期接種、インフルエンザの予防接種)
  • 勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
  • 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健診・検診等)
  • 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
  • 市区町村が健康増進事業として実施する健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)

これらの取り組みを行い、所得税や住民税を納めている人がセルフメディケーション税制の対象となります。もちろん、申告する人が上記の取り組みを行っていない場合は、対象製品を年間12,000円以上購入していても、控除を受けることはできません。

申請方法は?

セルフメディケーション税制の適用を受けるには確定申告を行い、以下の書類を添付または提示します。購入した医薬品のレシートは不要とされていますが、提出が求められる場合もあるため、確定申告期限の翌日から起算して5年は保存しておくのが望ましいでしょう。

  1. セルフメディケーション税制の明細書:薬局など支払先の名称、購入した医薬品の名称、購入代金などを記入します
  2. 一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類:予防接種などの領収書、がん検診の結果通知表、定期健康診断の結果通知書など

ちなみに、セルフメディケーション税制は「医療費控除の特例」とあるとおり、医療費控除の一部であるため、従来の医療費控除制度と同時には利用できません。10万円を超えた医療費の所得控除を受けるか、セルフメディケーション税制で所得控除を受けるかは、申告者が選択できます。

従来の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらがおトクか計算してみる

※本記事の内容は2021年3月31日時点の情報に基づくものです。

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