毛虫による虫さされの
予防策&対処法は?
最終更新:
蚊、ブヨ、ハチ、ダニなどの虫が原因で、痛みやかゆみ、赤みや腫れなどがおこることを「刺虫症」といい、一般的には「虫さされ」と呼んでいます。
今回は毛虫による虫さされ(毛虫皮膚炎)についてご紹介します。
毛虫皮膚炎
ガの幼虫(毛虫)の有毒毛が皮膚にささることにより生じる皮膚炎を「毛虫皮膚炎」といいますが、すべての毛虫が有毒毛をもっているわけではなく、一部の毛虫に触れた場合にだけ皮膚炎を生じます。
有毒毛にはおもに毒針毛と毒棘があり、毒針毛はドクガ、チャドクガなどのドクガ類やマツカレハ、タケカレハなどのカレハガ類の幼虫に、毒棘はイラガ、ヒロヘリアオイラガなどのイラガ類の幼虫に備わっています。
なかでも代表的なものは、チャドクガの幼虫による毛虫皮膚炎(チャドクガ皮膚炎)です。チャドクガの幼虫はツバキやサザンカなどの葉の裏に付着しているため、庭の手入れ後や、屋外に干した布団や衣服に毒針毛が付着することでも皮膚炎を起こす場合があります。また、毒針毛が空中に飛ばされることで、チャドクガの幼虫に気づかないうちに皮膚炎を発症することもあります。
チャドクガによる毛虫皮膚炎は、幼虫の発生時期である5~6月、9~10月に多発します。
毛虫皮膚炎の症状・対処法
ドクガ類の毒針毛は長さ0.1~0.2mmの微細なもので、幼虫1匹に対して数十万本以上の毒針毛が密生しています。これが皮膚に触れることで、1~2日後に激しい痛みやかゆみをともなう赤いブツブツがたくさん現れます。
患部を掻くと、肌にささった有毒毛をさらに擦りつけることになり、蕁麻疹のように症状が広がります。これらは首や両腕に集中して生じるのが特徴です。
イラガ類の毒棘に触れると、その瞬間にピリピリとした激しい痛みと赤みが出現し、1~2時間で治まりますが、その翌日に同じ場所が赤く腫れてかゆみを生じることがあります。
毛虫にさされたら、触れたり掻いたりせずに、流水で患部をよく洗い流しましょう。かゆみが強い場合は、さされた箇所を冷やすと症状が和らぎます。
強いかゆみや赤みなどの症状がみられるときには、ステロイド外用剤(塗り薬)が有効です。強いかゆみが我慢できずに掻きむしって症状が悪化する前に、かゆみを抑え強い抗炎症作用のあるステロイド外用剤(塗り薬)を使用するのがポイントです。
薬局・薬店の薬剤師、または登録販売者に症状を伝え、使用できるステロイド外用剤(塗り薬)があるかどうか相談してみましょう。
薬局・薬店で購入したステロイド外用剤(塗り薬)を5~6日使用しても改善がみられない、痛みがあって腫れがひどいなど、気になる症状が現れた場合は自己判断で使用を続けず、医療機関(皮膚科)を受診しましょう。
ごくまれに、毛虫の毒に対するアナフィラキシーショックの症状として頭痛や吐き気、めまい、息苦しさなどの全身症状が現れる場合もあります。患部と離れた部位にも蕁麻疹のような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
毛虫にさされないためには
毛虫にさされないためには、チャドクガの幼虫の発生時期(5~6月、9~10月)はツバキやサザンカに近づかないようにしましょう。
草木の手入れを行う際は、長袖・長ズボン、軍手や帽子などを着用して皮膚の露出を減らし、手入れ後は着用した衣服をしっかり洗いましょう。洗濯物にチャドクガの毒針毛が風で飛んで付着していることもあるので、外干しを避けるなどの注意が必要です。