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トコジラミによる虫さされの
症状・対処法は?

最近よく耳にするトコジラミの被害。昔は「南京虫(ナンキンムシ)」と呼ばれ、日本では戦後しばらくよく見られる害虫でしたが、生活環境の改善などにより被害は減少していました。
しかし近年、海外旅行をした人が荷物とともにトコジラミを国内に持ち込むことで、再び被害が増えています。
今回はトコジラミによる虫さされについてご紹介します。

トコジラミとは

褐色をした5mm~8mmほどの大きさ(成虫時)で、丸く扁平、とても薄いといった見た目の特徴があります。
普段は段ボールや家具の隙間などに隠れ、夜になると活動します。人や動物(とくにウサギを好む)の血液だけをエサとして生活し、吸血しなくても長期間生きることができます。吸血すると腹部が大きくふくらみ、体長も長くなります。

トコジラミ

トコジラミに吸血されると大部分がフンとして排出されるため、壁や柱などに黒褐色の点やシミが残ります。激しいかゆみをともなう虫さされがおこった際、黒褐色の点やシミ(血糞けっぷん)を発見したらトコジラミによる虫さされの可能性があります。

トコジラミは寝ているときに肌の出ている首や腕、手などから吸血するので、これらの部位にかゆみをともなうブツブツが見られた場合もトコジラミによる虫さされの可能性があります。

トコジラミによる虫さされの症状

トコジラミに吸血されるときに唾液が体内に注入され、その成分に対するアレルギー反応によって激しいかゆみをともなうブツブツが生じ、場合によっては発熱を引き起こすこともあります。生まれて初めてさされた場合は症状がおこらないことが多いうえ、トコジラミにさされてもほとんど痛みを感じないため、発見が遅れてしまう可能性もあります。

トコジラミによる虫さされの症状

最初のうちは刺されて 2~3 日経ってから症状が現れることが多いのですが、刺される回数が増えてくると、数時間でかゆみなどの症状が現れるようになります。1週間ほど症状が続くため、強いかゆみが我慢できず皮膚を搔き壊してしまったり、寝不足などで精神的に影響を受ける恐れがあります。症状が現れたらすぐに対処しましょう。

トコジラミによる虫さされの対処法

トコジラミにさされた場合、かゆみ止め外用薬では抑えられないほどの強いかゆみが生じるため、治療には「抗炎症作用」や炎症をひきおこす免疫系の働きを弱める「免疫抑制作用」があるステロイド外用剤(塗り薬)が有効です。強いかゆみが我慢できず皮膚を掻き壊してしまう前に使用するのがポイントです。

薬局・薬店の薬剤師、または登録販売者に症状を伝え、使用できるステロイド外用剤(塗り薬)があるかどうか相談してみましょう。

薬局・薬店で購入したステロイド外用剤(塗り薬)を1週間使用しても改善がみられない場合や、気になる症状が現れた場合は自己判断で使用を続けず、医療機関(皮膚科)を受診しましょう。

トコジラミを見つけたときは

ベッドの隙間や裏、マットレスの中、カーペットの下、家具と壁の間といった、トコジラミが生息しやすい場所に血糞があったり、トコジラミを見つけた場合は、被害が拡大する前に早急に駆除する必要があります。

トコジラミは高温に弱いため、スチームクリーナーで80~100℃に熱した蒸気をベッドまわりや気になる場所に数秒あてることで死滅させることが可能です。衣類は乾燥機にかけると良いでしょう。50℃では30分、60℃では10分程度で死滅します。家具の隙間などに潜んでいる場合は掃除機で吸引します。

以前はピレスロイド系殺虫剤がトコジラミの駆除に適していましたが、現在日本各地で問題となっているトコジラミの大半がピレスロイド系殺虫剤に対して耐性があることがわかっています。それらの耐性があるトコジラミに対して、有機リン系やカーバメート系の殺虫剤は殺虫効力が認められていますが、一部のトコジラミには効果がないことも報告されています。

市販の殺虫剤を購入する際はどのような成分が含まれているかを確認し選ぶようにしましょう。(※)

トコジラミの防除は潜んでいる場所を的確に把握できるかが重要なポイントになり、素人には難しい場合もあります。殺虫剤を使用しても被害がおさまらないようであれば、拡大しないうちに専門の防除業者に依頼するのが良いでしょう。

※医薬品や医薬部外品以外でトコジラミに対する殺虫効果などを掲げて販売されている薬剤は、薬機法に違反しています。使用しないようにしましょう。

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