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手湿疹でのステロイドと
保湿剤の併用

指や手のひら、手の甲が赤く腫れたり、水ぶくれが生じたり、悪化すると強いかゆみや痛みによって日常生活に支障をきたしかねない手湿疹。症状改善に有効なステロイドと保湿剤の併用について今回はご紹介します。

手湿疹とは

手湿疹とは、手指の乾燥や鱗屑りんせつ※から始まり、手のひら全体や手の甲まで赤みや小さな水ぶくれが広がっていき、強いかゆみや痛みをともなう症状のことをいいます。

度重なる水仕事やアルコール消毒、摩擦や刺激によって皮膚の乾燥が進むことで手湿疹がおこりやすくなるため、炊事や洗濯といった水仕事の多い方や、洗剤や水を多く使用する理・美容師、看護師、調理・炊事・皿洗い業の方に多くみられます。

手湿疹

悪化すると皮がむけたり、ひび割れが生じ、傷口がただれてしまったりすることもあります。

※鱗屑:皮膚の表面に角層(角質細胞からなる層)が異常に蓄積することで、正常な状態よりも厚くなってうろこ状の白色片を生じること

ステロイドと保湿剤を併用して保湿&症状改善をはかる

手湿疹のように乾燥肌に加えて湿疹などができている場合や、強いかゆみや炎症などがある場合は、ヘパリン類似物質配合の保湿剤とステロイド外用剤(塗り薬)との併用が有効です。

保湿剤にはヘパリン類似物質のほかにもワセリンや尿素などを主成分とするものがありますが、保湿効果が高くべたつきも少ないヘパリン類似物質配合の保湿剤は乾燥肌や手指の荒れの改善に適しています。

主な保湿剤の長所・短所および効能・効果

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長所 短所 主な効能・効果
ワセリン コストが安い
刺激感が少ない
べたつきがある 皮膚保護ほか
ヘパリン類似物質 保湿効果が高い
べたつきが少ない
塗りやすい
種類によりわずかな
においがある
乾燥肌、手指の荒れ
肘・膝・かかと・
くるぶしの角化症ほか
尿素 保湿効果が高い
べたつきが少ない
炎症部位に塗ると
刺激感があるため
小児には向かない
加齢に伴う乾燥肌ほか

ステロイドと保湿剤を併用する際の手順

ステロイドと保湿剤を併用する際は、先に保湿剤を塗り、後からステロイド外用剤(塗り薬)を患部のみに塗るようにしましょう。

先にステロイド外用剤(塗り薬)を塗ってから保湿剤を塗ると、塗る必要のない皮膚にまでステロイド外用剤(塗り薬)を塗り広げてしまう可能性があるからです。

ステロイド外用剤(塗り薬)を塗る回数&量は?

ステロイド外用剤(塗り薬)は1日1回~数回、適量を患部に塗りましょう。1FTU(フィンガーチップユニット)を基本として、患部の面積に合わせておおよそ必要な量の見当を付けます。

軟膏やクリーム(チューブ)の1FTUの量の目安
塗る量の目安
ステロイド外用剤ではFTU(finger tip unit)を目安として使います。
軟膏やクリームの場合、FTUは大人の人差し指の先から第一関節にのる量で、約0.5gに相当します。
これを1FTUと呼び、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます。
(体表面積の約2%)。
※チューブの大きさにより異なる場合があります。

ステロイド外用剤(塗り薬)はどのぐらいの量を塗ればよいですか?

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