乾燥肌には保湿剤。
でもその塗り方、合っていますか?

最終更新:
空気が乾燥するこの季節。顔だけではなく、手指やすね、背中などにもかゆみや肌荒れが生じ、お悩みの方も多いでしょう。今回はそれらの症状を予防・緩和する「保湿剤」について、効能・効果や正しい使い方をご紹介します。
乾燥肌とは?
乾燥肌とは、肌のいちばん外側にある「角層(かくそう)」に水分を保ち続ける能力が低下し、皮膚が乾燥した状態をいいます。皮膚が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、少しの刺激でかゆみや肌荒れがおこりやすくなります。

乾燥によるかゆみや肌荒れを改善するためには、洗いすぎない、垢すりなどで角質を破壊しない、エアコンや暖房による乾燥を避けるために加湿するといった、生活習慣や室内環境を整えることのほかに、保湿剤によるケアも有効です。
保湿剤の正しい使い方・塗り方を知って、効率的なケアを目指しましょう。
「保湿剤」といっても、用途や効果はそれぞれ
薬局・薬店などで買える保湿剤には、下記のようなものがあります。
それぞれの特徴を参考に、症状や塗布する部位に適したものを選びましょう。
①ワセリンのように皮膚の表面に油膜を作って覆うことで体内からの水分蒸発を防ぐもの
②ヘパリン類似物質のように水分子と結合して保湿効果を高めるもの
③尿素のような天然保湿因子
- おもな保湿剤の長所・短所および効能・効果
-
※横にスクロールしてください
長所 短所 主な効能または効果 ワセリン コストが安い
刺激感が少ないべたつきがある 皮膚保護剤 ヘパリン類似物質 保湿効果が高い
べたつきが少ない
塗りやすい種類によりわずかな
においがある皮脂欠乏症、凍瘡、
傷痕・火傷痕・ケロイドの
治療と予防ほか尿素 保湿効果が高い
べたつきが少ない炎症部位に塗ると刺激感が
あるため小児には向かない老人性乾皮症、
アトピー皮膚、魚鱗癬ほか - おもな保湿剤主成分の作用比較
-
※横にスクロールしてください
角層柔軟化作用※ バリア機能補強作用 水分保持作用 ワセリン ヘパリン類似物質 尿素
保湿剤は少なくとも1日2回。1週間以上の連用を
保湿剤を塗る目安は少なくとも1日2回。塗り始めの初回は多めに塗り、連用するにしたがって塗る量を減らしていくとよいでしょう。強い力ですり込むように塗ると、肌を傷つけてしまうことも。保湿剤を塗るときは、やさしく伸ばすようにしてください。
症状が落ち着いたからといって、数日で保湿剤の使用をやめてしまわないよう、少なくとも1週間は塗りましょう。
また、顔を洗った後や入浴後には肌から水分が逃げてしまうため、すぐに保湿することを心がけましょう。水仕事が多い場合は水に流れない「油性クリーム」を選ぶなど、ご自身の生活環境に合わせたケアが大切です。
保湿剤の適量と使い方
- 軟膏やクリーム(チューブ)の場合
- 大人の人差し指の先から第1関節に薬をのせた量(約0.5g=1FTUと呼びます)を大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます(体表面積の約2%)。
※チューブの大きさにより異なる場合があります。
- クリーム(瓶)の場合
-
大人の人差し指の先から第1関節の半分まで薬をのせた量が1FTU(約0.5g)に相当し、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます。

- ローションタイプの場合
-
1円玉大が1FTU(約0.5g)に相当し、大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます。

ステロイド外用剤(塗り薬)と併用する場合は
かゆみや炎症を伴う場合は、ステロイド外用剤(塗り薬)で治療するのも有効です。
保湿剤と併用する際には、塗る面積の広い保湿剤を先に塗り、後からステロイド外用剤(塗り薬)を患部だけに塗ると、ステロイドを塗る必要のない正常な皮膚にまで広げてしまうことを防ぐことができるとされます。