蕁麻疹の原因&対処法
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皮膚に突然かゆみを伴う赤みや盛り上がりがあらわれ、短時間で痕を残さず消えることの多い「蕁麻疹」。
今回は蕁麻疹について、その原因や対処法をご紹介します。
蕁麻疹とは?
蕁麻疹とは、基礎疾患や感染症、特定の食材や薬剤などが原因で皮膚の一部が突然赤く盛り上がったり、かゆみや焼けるような痛みがあらわれる症状です。通常いくつもの皮疹が集まって発生します。
一つひとつの皮疹は多くは24時間以内に痕を残さず消えますが、毎日のように繰り返しあらわれます。
3~10日でおさまるものを「急性蕁麻疹」、6週間以上続くものを「慢性蕁麻疹」といい、慢性蕁麻疹は原因がわからないことが多いのも特徴です。
顔を含めた全身におこり得ます。
蕁麻疹の症状
皮膚の一部にかゆみをともなう赤い盛り上がりがあらわれることが多い蕁麻疹ですが、チクチクとした感覚や焼けるような感覚をともなうこともあります。
蕁麻疹による皮膚の盛り上がりは1~2mm程度の大きさのものから、手足全体に広がるものまでさまざまで、一つひとつがくっついて身体のほとんどが覆われてしまうこともあります。形も円形や楕円形、線状などさまざまです。
蕁麻疹は皮膚だけでなく、稀に喉の粘膜が腫れ、呼吸が苦しくなることがあります。悪化すると呼吸困難をおこす場合もあるので注意が必要です。
蕁麻疹の原因
食物、薬剤、寒冷、日光、発汗、機械的刺激など、発生する原因がわかっている蕁麻疹と、直接的な原因がわからない蕁麻疹があります。
- 蕁麻疹の原因・誘因の例
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食物 魚介類(サバ、マグロ、サンマ、エビ、カニなど)、肉類、卵、乳製品、穀類・野菜(大豆、小麦、ソバなど) 食品添加物 人工色素(黄色、赤色など)、防腐剤(パラベンなど) 薬剤 抗生物質、解熱鎮痛薬、咳止めなど 植物・昆虫 イラクサ、ゴム、ハチなど(触れたり刺されたりしておきる) 感染症 寄生虫、真菌(カビ類)、細菌、ウイルス 物理的刺激 機械的擦過・圧迫、寒冷、日光、温熱、振動など 運動・発汗 内蔵・全身性疾患(血液疾患、膠原病、血清病など)、疲労・ストレス(身体的なもの、精神的なもの)
特定の刺激やアレルギーによって症状が引きおこされる蕁麻疹のなかで、原因が比較的はっきりしている種類としては、以下のようなものがあります。
- 物理性蕁麻疹
- 皮膚に対する機械的な擦過や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などといった物理的刺激によっておこる蕁麻疹のことをいいます。
- 遅延性圧蕁麻疹
- おしりなどの圧迫されやすい部分に稀にみられる蕁麻疹のことをいいます。押されるなどして肌が圧迫を受けてから数十分から数時間後に出現し、2、3日ほど続きます。かゆさよりも痛みの症状が強いのも特徴です。
- アレルギー性蕁麻疹
- 食べ物や薬剤、昆虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応しておこる蕁麻疹のことをいいます。
- コリン性蕁麻疹
- 入浴や運動などで汗をかくとあらわれる蕁麻疹のことをいいます。一つひとつの膨疹(皮膚のふくらみ)の大きさが3~5ミリ程度と小さく、発汗障害や後天性無汗症をともなうことがあり、発汗をつかさどる物質「アセチルコリン」の関与も可能性のひとつとして考えられています。
- ストレスが原因となる蕁麻疹
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「ストレス」も蕁麻疹の原因のひとつとして考えられています。
ストレスが原因となる皮膚トラブルにはどんなものがある?
蕁麻疹の予防・対処法
- 蕁麻疹の原因となっているものを避ける
- 物理性蕁麻疹、アレルギー性蕁麻疹、コリン性蕁麻疹など、原因となるものが特定できている場合は、その原因を避けることで基本的には蕁麻疹の発症をおさえることができます。
- 原因がわからない場合は生活環境を見直す
- 原因がわからない蕁麻疹が度々おこる場合は、直前にしていたことで共通するものはないか探してみましょう。思い当たることがない場合は、生活環境を見直してみるのも良いでしょう。ストレスや疲労が症状の悪化に関与していることもあります。バランスの良い食事と十分な休息をとるようにしましょう。
- 患部を掻かない、こすらない
- 蕁麻疹をこすったり、掻いたりしないようにしましょう。患部を掻き壊し症状がより悪化します。
- 市販薬でかゆみをおさえる
- 強いかゆみのある場合は、掻きすぎて症状を悪化させないためにも、かゆみを抑え強い抗炎症作用のあるステロイド外用剤(塗り薬)も有効な場合があります。自分の症状に適したステロイド外用剤(塗り薬)がわからない場合は、薬局・薬店の薬剤師、または登録販売者に症状を伝え、相談してみましょう。
原因がわからない蕁麻疹が続く場合や、薬局・薬店で購入したステロイド外用剤(塗り薬)を5~6日使用しても改善がみられない場合は自己判断で使用を続けず、医療機関(皮膚科)を受診しましょう。
蕁麻疹の治療法
- 蕁麻疹の原因となっているものを取り除く
- 医療機関(皮膚科)を受診し、食べたものや受けた刺激などの問診や、必要ならば血液検査やアレルギー検査をして蕁麻疹の原因となるものを探ります。これらを行っても原因が特定できるケースは稀ですが、特定できた場合は原因となるものを取り除く、または避けるようにします。
- 薬による治療
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蕁麻疹にはさまざまな種類がありますが、そのほとんどが抗ヒスタミン薬または抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬を内服または注射することで効果が期待できます。
ただし、蕁麻疹のタイプによっては抗ヒスタミン薬以外の治療が有効な場合もあるので、まずは医療機関(皮膚科)にかかりましょう。