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改めておさらいする
「入浴と洗顔による汚れの落とし方」

毎日の入浴と洗顔。いつも同じ手順で、同じ石鹸や洗顔料を使っているなかで、ちょっとした認識違いや勘違いで肌にダメージがかかっていることも。

今回は改めて「入浴と洗顔による汚れの落とし方」をおさらいします。

汚れの種類

皮膚についた汚れを落とし、皮膚をきれいに保つために行うのが入浴や洗顔の目的のひとつです。その際に落とすべき汚れとして挙げられるのは、以下の2種類があります。

身体からつく汚れ 外からつく汚れ
  1. 余分な皮脂や垢といった皮膚の代謝物や、汗が乾いて残った塩分などの身体から排出されて皮膚につくもの
  2. ちりやほこり、細菌、ウイルス、化粧品の残りなどの、外から皮膚につくもの

これらの汚れは皮膚の表面につき、皮表脂質膜のなかに取り込まれます。また、分泌されたばかりの皮脂や汗はほぼ無臭ですが、皮膚の常在菌が作用により分解されて、不快なにおいを発するようになります。

とくに汚れがつきやすく、においが発生しやすい脂漏しろう部位(首から上、背中の上部、胸の上部)、アポクリン汗腺分布部位(わきのした)、間擦部(皮膚の表面同士がこすれ合う部位)、足などをきれいにすることが重要です。

汚れの洗い方

皮膚を洗う際は、落とすべき汚れやにおいだけを落とすようにして、皮膚に必要な成分を残すように心がけましょう。皮脂膜を洗い流しすぎず、角層を傷つけないように、そして、洗浄剤の成分が皮膚に残らないようにします。

  1. 洗う箇所をあらかじめ濡らしておきます。そうすることで、界面活性剤の皮膚への吸着を少なくすることができ、肌の負担を減らせます。
  2. 石鹸やボディソープ、洗顔料などを適量とり、水またはぬるま湯を加えて手のひらや泡立てネットで泡立てます。必要以上に多量の洗浄剤を使うことも、皮膚のトラブルを招く原因になるので注意してください。
  3. 泡立てたものを皮膚表面の汚れとなじませて汚れを落とします。
    その際、皮膚の表面を強くこすらないようにしましょう。
  4. 洗浄剤が残らないようにぬるま湯でしっかりすすぎます。
    洗浄剤の残留は皮膚の乾燥や刺激性皮膚炎を起こすことにつながる可能性があるからです。とくに首やひじ裏、ひざ裏などの皮膚と皮膚が密着している部分に洗浄剤が残らないように、念入りにすすぎましょう。
  5. すすいだ後は、手早くタオルで水分を拭きとります。
    その際もタオルで強くこするのではなく、そっと肌にあて、水分を吸収させるようなイメージで優しく拭きとるようにしてください。
洗顔料の使用回数
肌になにもトラブルがない場合、洗顔料の使用は皮脂分泌量によって変わります。一般的には、思春期以降から壮年の男性は皮脂分泌量が多いため、1日2回洗顔料を使っても皮膚は乾燥しませんが、小さい子どもや皮脂分泌の少ない女性は1日1回など少なめにしたほうがよいでしょう。

石鹸(界面活性剤)のメカニズム

汚れには、皮脂などの「油になじむもの」と、汗の塩分のような「水になじむもの」が混ざっているため、水だけでは完全に落とすことができません。そのため、水になじむ「親水基しんすいき」と油になじむ「親油基しんゆき」を持つ石鹸が昔から使われてきたのです。このように親水基と親油基を持っているものを「界面活性剤」といいます。

汚れがついている肌に泡立てた石鹸を接触させると、親油基を内側に向けて油汚れを取り囲み、親水基を外側に向けて水になじんだ汚れを吸着するので、汚れをきれいに落とすことができます。

  1. 界面活性剤が汚れを包み込む
  2. 包み込んだ汚れを皮膚から引き離す
  3. すすぐ
界面活性剤

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