湿疹、皮膚炎の原因&対処法

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日常のなかで最も頻繁におこる皮膚の疾患といわれる「湿疹、皮膚炎」。原因も症状もさまざまな湿疹、皮膚炎について、今回は概要をご紹介します。
湿疹、皮膚炎とは?
赤みやブツブツ、水ぶくれなど、皮膚の表面におこる炎症の総称を「湿疹」といい、皮膚炎とも呼びます。
湿疹の多くは何らかの刺激物質や、ある特定の物質が皮膚に触れたときにおこる「接触性皮膚炎」ですが、原因がはっきりしないものもあります。
湿疹、皮膚炎の原因
湿疹、皮膚炎がおこる原因は刺激物質やアレルゲンなどの「外的要因」と、健康状態やアレルギー素因などの「内的要因」に分けられますが、両者が複雑に絡み合い、両方の要素が含まれる場合も多いことがわかっています。
- 外的要因
- 薬剤、化学物質、花粉、ハウスダスト、細菌、真菌、ほかのアレルゲンなど
- 内的要因
- 健康状態、皮脂分泌状態、発汗状態、アレルギーの有無、アトピー素因など
原因がはっきりしない場合、患部の症状や発疹の経過によって「急性湿疹・慢性湿疹」という診断名が用いられます。
- 急性湿疹
- 湿疹のうち、やや盛り上がった赤い発疹や腫れが生じた状態(ときに水ぶくれをともなう)のものをいい、症状が出始めてから数日しか経過していない場合が多いです。
- 慢性湿疹
- 湿疹のうち、患部が堅くゴワゴワした状態のものをいい、症状が出始めてから1週間以上経過している場合が多いです。
湿疹、皮膚炎の症状
湿疹、皮膚炎の症状の出方はさまざまですが、共通しているのは強いかゆみと皮膚表面の変化です。湿疹、皮膚炎に分類される症状のなかでも多くみられるものを以下に挙げています。
湿疹、皮膚炎に分類される症状の例
- かぶれ(接触皮膚炎)
- 何らかの刺激物質や、ある特定の物質が皮膚に触れたときにおこる皮膚炎
- あせも
- 汗を大量にかいたまま放置したときにおこる、水ぶくれやかゆみといった肌のトラブル
- 皮脂欠乏性湿疹(皮膚炎)
- 乾燥してうろこ状の鱗屑(皮膚の表面の角層が肥厚し、剥がれた状態)がみられる皮膚に亀甲状の赤みや円形の赤みが生じ、さらにかゆみが増した状態
- 手湿疹
- 手指の乾燥や鱗屑から始まり、手のひら全体や手の甲まで赤みや水ぶくれが広がっていき、強いかゆみや痛みをともなう症状
- 脂漏性湿疹(皮膚炎)
- 頭や生え際などの皮脂の分泌が盛んな部位や、わきの下、股などの皮膚がこすれて摩擦を受ける部位に生じる皮膚炎
湿疹、皮膚炎が進行する過程
皮膚に現れる症状の強さや経過もさまざまですが、その多くは「湿疹三角」に沿って進行します。
- 紅斑(赤み)
- 皮膚の表面に近い血管の拡張によって、皮膚が赤くなった状態
- 丘疹(ブツブツ)
- 皮膚の表面が小さく盛り上がった状態
- 小水疱(小さな水ぶくれ)
- 皮膚のなか、あるいは皮膚の下に透明な液体が溜まって盛り上がった状態
- 膿疱(膿を持った水ぶくれ)
- 皮膚のなか、あるいは皮膚の下に白や黄色みがかった膿が溜まって盛り上がった状態
- 湿潤(ジュクジュク)
- 小水疱や膿疱が破れて表皮がなくなり、分泌物で湿った状態
- 結痂(かさぶた化)
- 患部から出た液体や膿が皮膚の表面に固まってくっついた状態
- 落屑(皮膚片のはがれ)
- 皮膚の表面に異常に蓄積した角層が、皮膚からはがれ落ちた状態
こちらから、ご自身の患部の状態を知り、
対処法がチェックできます。
湿疹、皮膚炎の対処法
前述のとおり、湿疹、皮膚炎の原因はさまざまです。刺激物質やアレルゲンなどが原因の場合はそれらに触れないこと、健康状態や生活環境などが原因の場合はそれらを改善することなど、それぞれに適した対処が必要です。
湿疹、皮膚炎の症状もさまざまなので、それぞれの症状に適した治療を選ぶことが大切ですが、薬局・薬店で購入できる薬で対処することが可能な場合もあります。例えば、かゆみや炎症をともなう場合にはステロイド外用剤(塗り薬)が有効です。自分の症状に適したステロイド外用剤(塗り薬)がわからない場合は、薬局・薬店の薬剤師、または登録販売者に症状を伝え、相談してみましょう。
薬局・薬店で購入したステロイド外用剤(塗り薬)を5~6日使用しても改善がみられない場合は自己判断で使用を続けず、医療機関(皮膚科)を受診しましょう。
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