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ケガや火傷の傷あと改善

ケガや火傷で肌に残った傷あとはとても気になるものです。これらの傷あとを改善するためのケアについてご紹介します。

傷あとができるメカニズム

一般的に傷を負ってから治るまでには、以下の4つのステージで経過するといわれています。

  • 出血凝固期

    皮膚に傷ができると、出血したところが固まり「かさぶた」として皮膚の欠損部分をふさいで止血します。

    出血凝固期イメージ
  • 炎症期

    好中球、単球、マクロファージなどの「炎症性細胞」と呼ばれる細胞が傷口から侵入した細菌とたたかったり、死んだ細胞を片づけます。

    炎症期イメージ
  • 増殖期

    細菌が死滅し傷が治る環境が整うと、「線維芽細胞」が傷を修復するためのコラーゲンを生成します。また、新しい血管が生まれ、欠損した部分をおぎなうための組織が形成されます。

    増殖期イメージ
  • 再構築期

    十分な量のコラーゲンが生成されると、線維芽細胞が減少して傷あとが薄れていきます。表皮の細胞が再生され、「傷が治った」状態になります。

    再構築期イメージ
  • これらの経過を順調に進めば傷あとは治りますが、傷口が化膿していたり、血行不良などが原因で修復がうまくいかない場合、コラーゲンが大量に排出されて傷あとが盛り上がったり、炎症をおこして赤みが残ることがあります。これが「傷あと」となります。

    「傷あと」イメージ

傷あと対処のポイント

傷ができたらすぐに対処する
傷ができたら、早めに対処するのが傷あとを残さないためにも重要です。傷口をきれいな水でしっかりと洗い、汚れを落としてから軽く水分を拭き取りましょう。消毒液は雑菌やばい菌だけでなく、傷を治そうとする細胞の働きも止めてしまうため、使用はおすすめしません。水で汚れを落としたのち、傷口が乾いていない状態で密閉タイプのばんそうこうなどで保護します。
傷口が完全に閉じたら、ヘパリン類似物質を主成分とする保湿剤を塗る

傷あとの治療にはヘパリン類似物質を主成分とする保湿剤が有効です。ヘパリン類似物質には保湿作用、血行促進作用、抗炎症作用があるため、傷あととなる皮膚を保湿しやわらかくし、皮膚の新陳代謝を促進し、炎症を抑える効果が期待できます。

また、乾燥によって傷あと部分の皮膚にかゆみを生じたときに、我慢できずにかいてしまうと再び傷口が開く可能性もあります。そうならないためにも、傷あと部分にしっかりと保湿剤を塗ることが大切です。

軟膏やクリームの場合、大人の人差し指の先から第1関節に薬をのせた量(約0.5g=1FTUと呼びます)を大人の手のひら2枚分くらいの面積に塗ることができます(体表面積の約2%)。

軟膏やクリーム(チューブ)の1FTUの量の目安
保湿剤の種類と使い方

※チューブの大きさにより異なる場合があります。 ※瓶タイプの場合は大人の人差し指の先から第1関節の半分まで薬をのせた量が1FTUの目安となります。 ※ローションタイプの場合は1円玉大が1FTUの目安となります。

擦り込まないようにしましょう。

指にとった保湿剤を患部に置き、手のひらを使ってこすらずやさしく皺に沿って塗り広げます。塗った後の肌がテカるくらいが目安です。

  • たっぷりのせるように塗ると、
湿疹部分に薬がつきます。
  • 手のひらを使ってこすらずやさしく皺に沿って塗り広げます。

※保湿剤は皮膚が水分を吸収している入浴後に塗るのが効果的です。
できれば入浴後5分以内に、早めに塗るようにしましょう。

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